ボラセンノート:味覚の不思議

美味しそうに食べるおばあさん

 皆さんは子どものころ苦手だった食べ物が、大人になってから自然と食べることができるようになった経験はありませんか。私は子どものころ、健康に良いからと親に言われて、苦手なレバーを無理して食べていた記憶があります。しかし、大人になってから焼鳥屋でレバーを食べたとき、子どものころが嘘のようにおいしく食べることができました。なぜ大人になると苦手な食べ物が減るのか前々から気になっていましたので、今回調べてみました。皆さんの食べ物の好き嫌いがなくなり、バランスの良い食生活の参考になれば幸いです。
 初めに、加齢によって私たちの体に起こる「変化」についてご説明します。私たちの舌には、「味蕾(みらい)」という味を感じるセンサーがついています。味蕾は子ども時代に発達し、その数が多いほど味覚を強く感じることができますが、ある時期を過ぎると減少し、30~40代ごろには子ども時代の約3分の1まで減ってしまいます。つまり子どもの方が大人よりも味覚が敏感であることから、ある意味では子どもに食べ物の好き嫌いが多いのは自然なことなのかもしれません。
 次に、小学生の食べ物の好き嫌いについて、学研教育総合研究所の「小学生白書30年史」(1989年~2019年)を参考にご紹介します。小学生男女の苦手な食べ物ワースト3はこの30年間でほぼ変わらず、「焼き魚」「さしみ」「サラダ」という結果でした。この結果が意外だと感じた方も多いと思いますが、この3つの食べ物は、大人であればむしろ好きな人が多い食べ物ではないでしょうか。それほど大人と子どもでは味覚に差があるのだと改めて驚かされました。
 以上の話をふまえると、子どものころに苦手だった食べ物が大人になった今は問題なく食べることができるようになっているかもしれません。もし、大人になってからも苦手意識があって食わず嫌いになっている食べ物がある方は、一度思い切って挑戦してみてはいかがでしょうか。自分の味覚の変化に驚くことになるかもしれません。皆さんも体の健康維持のため、バランスの良い食生活を心がけるようにしましょう。

2022年07月11日|ボランティア月刊通信のカテゴリー:ボラセンノート