ボラセンノート:点字ブロックは『見た目』が大事?

点字ブロックの上を歩く視覚障害者

 先日インターネット上で、国内のとある場所に設置された点字ブロックのことが話題になっていました。この点字ブロックは大きくカーブを描いた形で設置されており、見る限り特に違和感がないように思えますが、目の不自由な方にとっては大きな問題があります。それは、この点字ブロックに沿って進んでいくと、自分がどこに向かって歩いているのか分からなくなるということです。
 身近にある点字ブロックを見てみると、直線的に設置されており、行き先が分岐する地点や曲がり角では線が直角に交わっていることがほとんどです。目の不自由な方にとっては、この直線・直角が現在歩いている方向を把握するために重要で、これが曲線になると、自分がどの程度方向転換をしたのかが分かりづらくなってしまいます。
 また、点字ブロックはその色も重要です。前述のカーブした点字ブロックは、グレーを基調とした周りの景観に合わせてか、色が黒色だったことも問題視されていました。弱視の方は点字ブロックの色を頼りに進むべき方向を把握することがありますが、わずかな視力では暗い色や路面と同系色の点字ブロックを見失いやすいのです。
 ところが、実は点字ブロックの色や設置する角度は法律等で厳格に定められているわけではないそうです。極端に言えば、円形に配置したり路面と同じ色にしたとしても問題はないということになるのですが、それでは目の不自由な方の移動の助けになるという本来の役割を充分に果たせなくなってしまいます。
 普段何気なく目にしている『黄色い線』ですが、細かい部分まできちんと考えられたデザインであることを覚えておきたいですね。

2022年08月04日|ボランティア月刊通信のカテゴリー:ボラセンノート